第33章 我儘
side 降谷
「…だめだ。」
風「…お願いします。若山さんを明日1日我々にお貸し下さい。」
風見が僕に何をお願いしているかと言うと、
僕の部下達が尾行術と体術の特訓をしたいから
元SPである美緒に教えを乞いたいそうだ。
確かに美緒はかなり強いし、
背中に目があるんじゃないかって思うくらい尾行に敏感だ。
彼等にとってはいい勉強になるかもしれないが
僕のいないところで、男ばかりの群れに居させるのはやはりいい気がしない。
それに明日はポアロのアルバイトで抜けられそうにないからな…。
「明日じゃなくてもいいだろう。僕が別の機会に見てやる。」
風「降谷さんはいつも忙しくて、なかなか時間取れませんよね?
若山さんは明日、仕事がお休みだそうなので
今回は彼女が適任かと思います。」
…なんで美緒の休みの日を把握しているんだ…と突っ込もうと思ったら、
美緒の同僚である葉山さんから聞いたと言われた。
葉山さんといつの間に連絡を取る仲になったのか気になったが
今はそんな事どうでもいい…。
「とにかくだめだ。また日を改めてくれ。」
風「仕方ありませんね…。」
やっと諦めてくれたと思ったが実はそうではなかった。