第32章 拉致
父さん…母さん……!
母「Hi、美緒!!元気〜?母さんだよー!」
父「美緒、元気でやってるか?
……この動画を見てるってことは、
俺達はもう生きてないってことだろうな…。」
母「私達がFBIってことも知ったのよね?
ごめんね…仕事のことずっと隠してて…」
父「お前には小さい頃から寂しい思いをさせてたと思う。
でも美緒は優しいから、普段なかなか一緒にいてやれない俺達のことを一度も責めたりしなかったよな…。」
母「私達それがちょっと寂しかったのよ?
たまにはわがまま言って欲しいって思ってた。
そんなあなたが10歳の誕生日に
私達と一緒に家で誕生日パーティーしたいってお願いして来たの。
あなたの初めてのお願いだったから嬉しくてね…父さんと2人で泣いてたのよ?」
父「俺達にとって一生忘れられない思い出になったよ。
美緒…これから先、お前が俺たちの娘だとバレて
命を狙われることがあるかもしれない。
その為に昔からお前を鍛えてきたが、絶対1人で戦おうとするなよ?」
母「あなたはとても強くなったけど……
いつかきっと……あなたを守ってくれる人が現れるから
その時はその人を頼りなさい。絶対1人で無茶はしちゃダメよ?」
父「お前はお前らしく生きて行け。時には逃げたっていい。
迷う事があったら立ち止まってもいい。
俺たちは……ずっとお前の幸せを願ってる。」
母「あなたは私たちの自慢の娘よ。
離れ離れでもその気持ちは変わらない。
自分に自信を持って、真っ直ぐ前を見て生きていってね。
美緒……愛しているわ。」
父「美緒…元気でな。
恋人ができたら大事にするんだぞ?
…good-by 美緒…good luck!!」
2人は画面越しに笑いながら手を振っていて
私の頬には温かい涙が流れていた。