第32章 拉致
「すみません若山さん。
一応データの中身を確認したいので、
パスワードを教えてもらってもいいですか?」
その捜査員の人からパソコン画面を見せてもらい、
パスワードのヒントが映し出されていた。
秀「10歳の誕生日に出かけた場所はどこか…。
美緒、覚えているのか?」
『ふふっ、うん。覚えてるよ!
答えは…
どこにも行ってない!』
「「「……?」」」
3人は意味がよく分かっていないのか
私はちゃんと説明する事にした。
『10歳の誕生日はね、
父さんと母さんと3人でずっと自宅にいたの。
誕生日パーティー開いてもらったんだ〜。
だから答えはHouse(家)だと思うよ!』
わたしの答えを聞いた捜査官の人がパスワードを入力すると
ロックが解除されて、組織の資金用口座のデータが確認できたようだった。
秀「なるほど…あの2人らしいパスワードだよ。
簡単には解けないな。」
私もそう思う。
両親はいい年してすごくいたずら心が旺盛だったからなぁ。
両親のことを懐かしんでいると
パソコンを操作していた捜査員がある事に気づいた。
「あの…組織のデータとは別に
一件動画ファイルが入っているようですが…
再生して確認しますか?」
動画ファイル?
一体なんの動画なんだろう…
両親が残した動画だからすごく気になる…!
「一応確認するか…再生してくれ。」
「はい。」
零くんに指示された捜査員は動画の再生ボタンを押し
パソコンの画面には、久しぶりに見る私の両親の顔が映し出された。