第32章 拉致
風「もしもし、どうした。」
風見が電話に出ると、
電話口から捜査員の焦っている声が聞こえた。
風「若山さんが拉致された!?」
「っ…なに!?」
風見はすぐ電話の通話をスピーカーにして
僕にも聞こえるようにしてくれた。
「申し訳…ありません……!
若山さんの同僚の……っ、葉山、さんが訪ねてきたんです…。その人に、私ともう1人の…捜査員が襲われて……。
気づいて……部屋に行った時にはもう……。」
襲われた捜査員はまだ息が上がっていたので
奴らに手負わされたんだろう。
僕はすぐ葉山さんの警護を担当している捜査官に連絡を取った。
どうやら今日は朝からずっとショッピングモールで警備をしていて
そこから一度も外に出ていないとのことだった。
「くそっ!やられた……!」
まさか奴らの中に変装できる人物がいるなんて予測できなかった…。
風「若山さんのGPSはどうなってる!?」
「部屋の近くの扉に……落ちていた、ので…
こちらからは…追跡できません……。」
公安が美緒に持たせていたGPSも使えないとなると…
僕は仕方なく、あの男に電話をかけた。
秀「俺だ。どうした。」
「…美緒が攫われて、公安のGPSも外された…。
FBIの方のGPSを確認して欲しい。」
秀「わかった。少し待ってくれ。」
実は美緒と赤井と僕の3人で工藤邸で話した時
念の為、赤井達FBIから別のGPSも渡していたのだ。
かなり不本意だが、今は緊急事態のためFBIを頼るしか他に方法がない。