第32章 拉致
なんとなくの感覚で一分間経つと
零くんは私からパッと離れて、仕事に戻ると言い出した。
「しばらく肩身の狭い思いをさせるが我慢してくれ。
出来るだけ早くカタをつける。」
『大丈夫。家からは絶対出ないようにするから。
無理しないでね。』
「ああ。時間がある時は電話する。」
零くんはそう言うと部屋から出て行った。
これから公安警察やFBIが組織のことを調べてくれるだろうけど
今の私にできることは何もない…。
ボディーガードの仕事も今回のことが解決するまでお休みだ。
通勤途中や職場にいる時に襲われるかもしれないし
関係のない人まで巻き込む可能性もある。
しばらくはこのマンションに引き篭もり生活だ。
窮屈じゃないっていうと嘘になるけど
これ以上みんなに迷惑をかける訳にも行かないし
私は言われた通りにマンションで大人しくしている事に決めた。
それから私はマンションでたくさんの映画を見たり
筋トレをしたりして過ごした。
時々、公安の人が食料を買って持ってきてくれた時に
アグバロスの組織について詳しい事を聞こうと思ったが
やはり仕事が忙しそうなので、お礼だけ言ってすぐに帰ってもらった。
そして、私がマンションに引き篭もるようになってから
5日が過ぎたーーーーーーー……