第31章 襲撃
私と葉山が車に乗り込むと、
社長はアクセルを踏んで車を走らせた。
どうやら男達は追ってきていないようで
ひとまず安心した。
『…はぁ……社長、ありがとうございます。
葉山も…来てくれて助かったよ。』
東「それよりお前、怪我してないか?
腕から血出てるぞ。」
襲ってきた男のうちの1人が小さいナイフを持って振り回してきたからちょっと掠めてしまったんだろう。
『擦り傷なので大丈夫です。
ところでこの車はどこに向かってるんですか?』
東「お前が危ないって知らせてくれた人がいる家に向かってる。
詳しい話はその時にな。梢さんもそこに向かってるから後で手当してもらえよ?」
…どうして梢さんも……?
それに私を襲ってきたあの男達は一体何者なの?
何が何だかさっぱり分からないまま車はとある目的地に着いた。
…そこは秀一くんが居候している工藤邸だった。
秀一くんと通話中のままスマホを内ポケットに入れていたのを思い出して、車の中で確認したけど通話はすでに切れていた。
3人で車から降り、周囲に尾行がいないか確認してから家の中に足を踏み入れた。
玄関に入ると昴さんに変装していない
素顔のままの秀一くんが迎えてくれた。
「美緒……無事だったか…よかった…。」
秀一くんは私の顔を見ると、そのまま優しく抱きしめてきた。
社長と葉山くんもいたから
恥ずかしくてすぐに押し返したけどね。