第29章 妊娠
とりあえず、
玄関に立ったままだと骨折している美緒の足に負担がかかるのでリビングに座って話す事にし、
僕も一旦車をコインパーキングに停めに行ってから部屋に戻って来た。
瑞「で、降谷は一体何しに来たの?」
『その事なんだけどね…
ごめん瑞希。わたしが病院に入って行くところ
誰かに見られちゃったみたいで…。』
瑞「あー…。
それで勘違いした降谷がここに来たってことで合ってる?」
……勘違い?
じゃあ美緒は妊娠してる訳じゃないのか…?
「…悪いが、どういうことか説明してくれないか?」
そう尋ねると、2人は目を合わせて瑞希が2、3度頷いた。
たぶん話していいって言う合図だろう。
『あのね、わたしが病院にいたのは瑞希の付き添いで行ったからなの。たぶん買い物に出て、病院に戻った時を見られてたのかな…?』
「じゃあ……妊娠してるのは…」
瑞「そうだよ、わたし。
美緒は薬局で、私の為にカフェインレスの飲み物とかサプリメント買ってくれたの。
残念だったね〜。妊娠してるのが美緒じゃなくて。」
……残念なような、ホッとしたような。
本当に子供が出来ていたらもちろん嬉しいが
そういうのはやはり順を追ってと考えていたからな…。
「そうか……。おめでとう、瑞希。
相手は萩原か?」
瑞「っ!!……はぁ、あんたはやっぱり気づいてたか。」
…何となくだけどな。
一度だけ2人で飲んでいるところを見かけたし
その時の2人の距離が少し近かったから
そういう関係になったのかと思っただけだ。
『まだ萩原くんには話してないらしいから、
誰にも言わないであげてね。』
「ああ、わかったよ。」
あいつならきっと大丈夫だ。
瑞希のこと大事に思ってるはずだからな。