第29章 妊娠
『…ねぇ瑞希。
買ってきてくれたケーキ食べないの?
紅茶も口に合わなかった?』
「あー…。美緒にあげる。
代わりに食べて?紅茶も飲んじゃっていいよ。」
…明らかに何か隠している瑞希。
すごくバツが悪そうな顔をしていたので
わたしは気になって問い詰めることにした。
『…瑞希。何か隠してるよね?
私には言えないこと?』
「…。」
『何かあるなら相談して欲しいな…。
わたし、昔から瑞希に助けてもらってばっかりだし
何か力になれることがあれば役に立ちたいの。』
「美緒………っ、ありが、と…。」
私がそう言うと瑞希は急に泣き出してしまった。
まだ話の内容を聞いてもいないのに、彼女の泣く姿を見て胸が苦しくなった。
「私、ね……
妊娠、したの………」
『え…妊娠!?』
「うん、妊娠2ヶ月。
ちょっと悪阻気味でケーキ食べれないの。
紅茶は…カフェイン気になっちゃって。」
『………。』
「……美緒…?」
『おめでとうっ!瑞希!!』
「…え…?」
『だから、おめでとう!
瑞希の子供だから絶対絶対可愛いよ!!
うわぁ!!もう今からすごく楽しみー!!待ちきれないー!
男の子かな?女の子かな?
今2ヶ月ってことは…まだ8ヶ月もあるのー!?
長いよー!!早く会いたいなー!!』
「ちょっと美緒…少し落ち着いて。」
『っ!あ…ごめん……。』
嬉しくてついはしゃぎ過ぎてしまった。
「あのさ、私子供産むかどうか言ってないよね?」
『ええ!?産まないの!?
っていうか産みたいと思ってるんじゃないの!?』
「…何でそう思ったの……?」
『だってこの家来てから何回もお腹摩ってるし!
最初はお腹痛いのかなーって思ってたけど
今の話聞いて納得した。大事だから摩ってたんでしょ?』
わたしがそういうと瑞希は再び泣き出してしまった。