第28章 退院
アパートに着いて2人で私の部屋に向かい、
零くんが車と部屋を往復して荷物を運んでくれている間に、
私は着替えを荷物から取り出して洗濯機に突っ込んでおいた。
お見舞いの品の整頓をやろうとしたら
零くんに止められてソファーに座ってろと言われてしまい
わたしはひと足先にくつろぐことになった。
…あれ?
そういえば2週間近く家帰ってなかったのに
家の中全然埃っぽくないな…。
零くんに聞いてみたら
今日の朝早く来て、換気と掃除をやっておいてくれたらしい。
……本当に私の彼氏は完璧すぎる…。
「美緒はいつから仕事復帰するんだ?」
『明後日からだよ!
明日はスマホの契約しに行こうと思ってるんだ。
壊れちゃったままだから…。』
「そうか。じゃあ僕は今から買い出しに行ってくるよ。
今日の晩ご飯、何が食べたい?」
『鶏肉食べたい!!特にささみ!!』
「…随分安上がりだな。でも美緒らしいよ。」
『いいじゃん!鶏肉好きなんだもん…』
「分かったよ。すぐ帰ってくるから
美緒はゆっくり休んでろよ。」
そう言って零くんは部屋を出て行った。
……零くんにもゆっくり休んで欲しかったのに
本当に優しい人だな。
わたしはそのままソファーで寛いで
零くんの帰りを待つことにしたが
彼が出てって数分後に家のチャイムが音を鳴らした。
『零くん…じゃないよね?
いくら何でも早すぎるし…。』
私は立ち上がって片足でモニターまで見に行くと
そこには松田くんと伊達くんが映っていて
玄関まで行きドアを開けた。