第28章 退院
そして挨拶を済ませた後、
私は松葉杖を使って零くんの車まで歩いた。
怪我はほとんど治ったから一応今日で退院だけど、
足首は骨折したままなので週に一回は通院しないといけないから
まだまだ少し大変だ。
車に乗り込んで私のアパートに向かったが…
車の後部座席には、私の荷物よりもたくさんの見舞い品が置かれていて、つい苦笑いが出た。
『やっぱりあれは持って帰ってもらって正解だったな…。』
「……?あれって何だ?」
『美和子ちゃんと高木くんが来た時にね、
ダンボール4箱分のお見舞い品渡されたの。
交通部とか刑事部からだって言われたけど、
もう警察辞めてだいぶ経つのにおかしいよね?』
「……。確かにおかしいな………はぁ…。」
『大丈夫…?やっぱり疲れてる?』
「いや、疲れてるんじゃなくて…」
『家着いたら2人でゆっくり休もうね!」
「……ああ。
(持って帰ってもらってよかった…。
車に乗らないだろうし、明らかに美緒への貢ぎ物だからな…。)」
零くんが何を考えているか分からなかったけど
何回かため息をついていたから
相当疲れているんだと思って
家についてからは絶対零くんにもゆっくりしてもらおうと自分の心の中で決めた。