第28章 退院
『やっと退院の日だーーーー!』
朝の健診が終わり、予定通り退院の日を迎えた私は
1人でウキウキしながら荷物をまとめていた。
荷物をまとめ終わる頃に、
ちょうど零くんが迎えに来てくれた。
「おい……荷物が2倍くらいに増えてないか?」
『えーっと……半分以上がお見舞い品なの。
これでも頑張って消費したんだよ?』
「僕がこの前来た時よりも増えてるじゃないか。
一体どれだけの人が見舞いに来たんだよ…。」
私は指を折りながら
零くんの前で来た人数を思い出して数えてみた。
『うーんと…
少年探偵団のみんなと、蘭ちゃんに園子ちゃん、
毛利探偵と目暮警部と、白鳥くん、高木くんと美和子ちゃん、
それから瑞希と松田くん達と…
あ!あと風見さんも!「分かった、もういい」……。』
零くんはあまりの人の多さに頭を抱えてため息をついてる。
…だってみんなお見舞いに来るたびにたくさん持ってきてくれるんだもん!
『……えっと…ごめんね?
仕事忙しいのに、迎えにきてもらった上
荷物持ちみたいなことさせちゃって…。
みんなが私のために持ってきてくれた物だから
ちゃんと全部持って帰りたいの……。』
俯きながらそう言うと、
零くんはわたしの頭を優しく撫でてきた。
「別に…怒ってるわけじゃない…。
ただ……僕よりも頻繁に美緒に会える人達が
羨ましかっただけだ…。」
そう言ってくれた零くんは
恥ずかしいのかほんのり顔が赤くて、なんだか少し可愛かった。
『あははっ。零くん可愛い。』
「…うるさい。」
わたしが会計をしている間、
零くんはどこからか荷台を借りてきてくれて
車までたくさんの荷物を運んでくれた。
担当の看護師さんには
こんなにお見舞いの品を持って帰る人は見た事ないって苦笑いされながら言われてしまうくらいだった。