第22章 聖夜
やはり家族連れが多いだけあって、
1番多いトラブルは迷子だった。
…これで5人目だ。
泣きながら親を呼ぶ子供を保護して
慰めながら会場の受付場所に連れて行く。
『大丈夫だよ。パパとママにすぐ会えるからね?』
「……ぐすっ。…本当に?」
『もちろん!パパとママが来るまで、
お姉さんが一緒に待っててあげる。』
「…ありがとう、お姉ちゃん。」
『ふふっ。ちゃんとお礼が言えてえらいね!
そんないい子にはご褒美あげる。』
迷子になった子を慰める用に
さっき何個か買っておいたサンタの小さなキーホルダー。
小さい掌に置いてあげると、可愛い顔で喜んでくれた。
「サンタさんだ!可愛いっ!」
『今日はクリスマスだから、お姉さんからプレゼントだよ。』
その子は私に対して何回もお礼を言ってきて、
涙はすっかり引っ込んでいた。
その後すぐ、その子の両親が迎えにきてくれて
見えなくなるまでずっとこちらに手を振りながら去っていった。
そして持ち場に戻ろうと思って歩き出そうとしたら
眼鏡をかけた細目の男性に声をかけられた。