第22章 聖夜
いや……
それよりもただ……
美緒に会いたい……
24日のクリスマスイヴが終わってしまう前に
美緒の家に到着したかった僕は
雪で視界が悪かったが、車のスピードを上げて彼女の家まで急いで車を走らせた。
美緒のアパートに着くと時刻は11時50分。
何とか24日のうちに着いたが
そもそも彼女は家にいるのかさえ分からない。
寝ているかもしれないので
合鍵で静かに入り、電気はついているが美緒の姿は見えない。
リビングに足を進めると
ソファーに横になって眠っている美緒を見つけた。
「全く……こんなところで寝てたら風邪引くぞ。」
久しぶりに見る美緒の顔は
目には涙の跡があり、隈も少し酷かった。
……僕のせいで…泣いてたんだよな。
美緒の体に近くにあったブランケットを掛けて
仕事に戻らなければならない時間まで
彼女が起きるのを側で待っていよう、そして謝ろう…
そう思ってコーヒーでも淹れようとキッチンに向かったら
豪華な料理がたくさん作られているのを見つけた。
「これ……美緒が1人で作ったのか……?」
その時、
彼女が言っていたことをふっと思い出した。
ーーーーーー…
"降谷くんほど料理上手じゃないけど、
クリスマスディナー用意するね!
遅くなっても待ってるから。"
ーーーーーー…
美緒は…
僕との約束を守ってくれたんだ…
僕が来るかも分からなかったはずなのに…
連絡を一切しなかった僕の為に…
仕事が終わった後で疲れているにも関わらず
こんなにたくさんの料理を作ってくれた美緒のことが
どうしようもないくらい愛しく感じた。
「美緒……ごめんな…」
眠っている美緒に近づいて
頬を撫でながら寝顔を見ていると
自分自身に嫌気がさして、自分のことを思い切り殴りたくなった。