第21章 復讐
「美緒さん、寒くないですか?」
『大丈夫ですよ。
安室さんの手、すごくあったかいので。』
ギュッと手を握ると零くんも握り返してくれた。
2人で微笑み合って道路を歩いていると
前方から見たことある人が歩いてきた。
……あれ?あのニット帽の人…
この前アパートで話しかけてきた人だ。
…この辺りに住んでいる人なのかな?
そんなことを考えていると
隣を歩いていた零くんは急に足を止めて、繋いでいた手が離れた。
『…?安室さん?どうしたんですか?』
零くんは私の方を見ずに
こちらに向かって歩いてくるニット帽の男性を睨んでいるようだった。
「久しぶりだな、美緒。
この前アパートで会った日以来か。」
『!?なんで私の名前知ってるんですか…?』
零くんもその事に驚いたようで
私の前に立ち、体を隠した。
零「気安く彼女の名前を呼ばないでくれますか?」
「ふっ。そうか。
安室くんの恋人だったのか。それは失礼。」
全く悪いと思ってないような話し方で
零くんを煽っているように聞こえた。
「俺の名前は、赤井秀一。
安室くんとは一応、知り合いだ。
美緒……思い出したら連絡をくれ。」
赤井秀一、と名乗る男性は
私達の横を通り過ぎ歩いていって姿を消した。