第21章 復讐
その日、
零くんが仕事から帰ってきたのは午後9時頃だった。
帰ってくる前に晩ごはんを用意して待っていようと思ったけど
作るための材料が家に何もなくて…
どうしようか零くんに相談したら
帰りに何か買ってきてくれるとのことだったので
今日は先に自分でお風呂だけ済ませて
零くんの帰りを待っていた。
そしてあまり時間が経たないうちに
玄関の鍵が開く音がして私は出迎えに行った。
『零くんおかえり!』
「ただいま。」
零くんに抱き付くと彼は優しく抱きしめ返して
ちゅっ、とキスをしてくれた。
「なんだ。もうお風呂入ったのか。」
『…誰かさんが嘘ついたからね。』
「ははっ。それよりお腹空いただろ?
遅くなってごめんな。」
頭を撫でてくれる零くんの手つきは優しくて
とても穏やかな気持ちになった。
『空いたー!私お茶いれるね!』
零くんの腕を引いて2人でリビングにやってきたところで
お茶を入れにキッチンに来た。
買ってきてくれたお弁当は美味しくて
自分でもまた買いに行きたいくらいだった。
食べ終わってから零くんはお風呂に入り
もう少しやっておきたい仕事があるからと言って
今はパソコンと睨めっこしている。
私はその隣で零くんの仕事が終わるまで本を読むことにした。
先に寝ててもいいって言われたけど
せっかく一緒に入れるのに1人で寝るなんて勿体無い!
って言ったら、零くんは嬉しそうに笑っていた。