第21章 復讐

風「すみません、若山さん。
彼女の存在に気付かず、怪我させてしまいましたね…。」

『元々は私が松本さんの側を離れたのが原因です。
風見さんのせいじゃありませんよ。』



今回は早く密輸組織を潰すことを考えすぎて
警護対象者を連れ回した私に非がある。
社長に報告したら絶対怒られるだろうなぁ……


風「とにかく病院で手当しましょう。
送っていきます。」

『これくらい大丈夫ですよ。
自分で運転してきた後輩の車がありますし。』

風「その車は
別の捜査員に返してもらいますから任せて下さい。
あなたを早く病院に連れて行かないと
私が降谷さんに叱られるんです。」



うっ…。

確かに風見さんが叱られるのは申し訳ないな…
私は仕方なく美和子ちゃんの車の鍵を渡して
風見さんの車に乗り、病院まで送ってもらう事にした。


車内では山根が殺された理由を風見さんが教えてくれた。

彼はどうやら組織から抜けたかったらしく
SDカードにあった情報を警察に渡されたくなかったら
組織を抜けさせろと、リーダーを脅していたらしい。

リーダーはそれに応じたフリをして山根を殺したそうだ。


そんな話をしていると、あっという間に病院についた。


本当に怪我は大した事なくて
手のひらを5針縫うだけの治療で済んだ。

その後、
社長に電話で報告した所、やっぱりすごく怒られて
2日間仕事を強制的に休みにさせられてしまった。


ため息をつきながら病院の会計を済ませて
風見さんが待っている待合室に向かったらそこに彼の姿はなく
代わりに降谷くんが椅子に腰掛けていた。


『……なんでここにいるの？風見さんは？』

「仕事に戻ったよ。僕がここに来たらいけなかったか？」

『そうじゃなくて、驚いただけだよ…
怒ってる…よね？』

「当たり前だ。」


うわ、即答。