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《降谷夢》bonheur {R15}

第21章 復讐


松「え……若山、さん?なんで……」

私の手からは血がポタポタと滴れ
地面にシミを作っている。

『松本さん…
こんな事しても山根さんは戻って来ないですよ?』

松「…っ!?
その男は私が殺してやるんです!そこをどいて下さい!」

『それは出来ません…
私は…あなたに人を殺めてなんて欲しくないんです。
山根さんでもきっと止めるはずだから…』


私はナイフを握ったまま引っ張って
彼女の手からナイフを抜き取り投げ捨て、彼女に向き合った。



松「あなたは…彼のこと何も知らないじゃないですか!」

『そうですね…でも…
山根さんがうちの会社を訪ねた時に言ってたんですよ…


…「僕の彼女は、心がとても綺麗なんです」ってね。』


松「!?」

『スマホの待受画面をずっと見てたから
何見てるんですか?って聞いたんですよ。
そしたら彼女の写真ですって教えてくれました。』


あの時の山根の顔は本当に幸せそうで…
でもどこか苦しそうで……それが印象的だった。


『松本さん…
復讐なんてしても山根さんは喜びませんよ?』


松「ーーーっ!…ぅ…ぅ…うわぁーーーーっ…!
大吾……だいごぉ……!」


彼女は地面に座り込んで思い切り泣き出した。
 
その姿はその場にいる誰が見ても悲しそうだと思うだろう。
私は松本さんの姿を見て、とても胸が苦しくなった。



しばらくすると女性の捜査員が松本さんに駆け寄り
肩を掴まれ立ち上がり泣きながら歩き出した。


彼女を見送った後
持っていたハンカチを手にぐるぐると巻き、腕を少し高く上げて止血していると風見さんが私の元に近付いてきた。



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