第21章 復讐
車を飛ばして7丁目の廃工場付近に着いたところで
車を降り、後は徒歩で向かうことにした。
工場に近づくにつれて
わーわーと声が騒がしく聞こえてきたから
きっともう一味を取り押さえにかかってるんだろうな。
『急がなきゃ…。』
工場の入り口に到着して
誰にも見られないように陰に隠れながら中に入って行く…
辺りを見渡すが、まだ松本さんの姿は見えない。
さらに工場の中へ足を進めると
風見さんが組織のリーダーらしき人物を2人がかりで取り押さえているのが見えた。
『あの男がリーダーか…』
もし松本さんが見ているなきっとあの男に近づくはず…
キョロキョロと辺りを広く見渡していると
一つの物陰から女性が出てくるのが視界に入った。
いた!!
私は障害物を避けながら彼女に走って近付いた。
風見さん達は、死角に入った松本さんの姿に気づいていない。
…このままじゃやばい!
彼女の手元にはカラッと光るナイフが握られていた。
住宅街で私達を襲ってきた男が持っていたナイフだ…
こっそり隠し持っていた事に驚きながらも急いで足を進めた。
『松本さん!そんなことしちゃだめ!!』
風「…え、若山さん?なぜここに!?」
視界の端から段々とリーダーに近づく松本さん。
私は風見さん達の前になんとか立ち塞がり
松本さんは持っていたナイフを振り翳してきたので
そのナイフを片手で握って止めた。