第20章 密輸
警視庁の入り口まで戻ってきたところで息を整えていると
後ろから声をかけられた。
佐「あれ……、美緒先輩?
なんでここにいるんですか?」
後ろを振り向くとそこには美和子ちゃんがいて…
バレないように被ってきた帽子は、
取り調べした時に外して
そのまま置いてきちゃったことを思い出した。
『美和子ちゃん!ちょうど良かった!
車!車貸して!』
佐「え?え?なにか、あったんですか?」
『緊急事態なの!早く!キー貸して!』
佐「は、はい!」
私の気迫に押され、美和子ちゃんはキーを渡してくれた。
お礼を言いすぐに受け取って
美和子ちゃんの赤い車の所に向かって走った。
急いで車に乗り込んでエンジンをかけ、
私は○△町に向かった。
確か7丁目の廃工場って行っていたから
車を飛ばしていけば松本さんより早く到着できるかもしれない。
アクセルを強く踏んでスピードを上げ、
車を追い抜きまくった。
そんな時…降谷くんから着信があり
耳にワイヤレスイヤホンをつけて、電話にでた。
『 はい…』
「……美緒、今どこにいる?」
恐らく松本さんがいなくなってしまったことを
女性捜査官から聞いたんだろう…
『ごめん…松本さんが警視庁でいなくなったの。
たぶん組織のアジトに向かってると思ったから
私もそこに向かってる。』
「彼女のことは僕達に任せてお前は引き返せ!
危険な組織だって言っただろう?」
『だから行くんじゃない…
松本さんは私の警護対象者。
命に変えても守らなければならない義務があるの。』
それに……彼女に復讐なんてして欲しくないんだ。
もし誰かを殺してしまったら、
松本さんも山根を殺した人と同類になってしまうから…