第20章 密輸
松本さんのいる会議室に向かって歩いている途中、
他の捜査員も組織のアジトに向かうのか
廊下をバタバタと走っている人をたくさん見かけた。
これで組織のリーダーも捕まれば
松本さんを狙う輩もいなくなるから安心だ。
会議室に着き扉を開くと
なぜかそこには誰もいなかった。
『え!?松本さん!?どこ行ったの!?』
部屋を出て探しに行こうと廊下に出たら
松本さんと一緒に待っていた女性捜査官がいたので
私は彼女に駆け寄った。
『ちょっと!松本さんはどこ!?
一緒にいたはずですよね!?』
「そ、それが…トイレに行きたいと言われて
ちょっと目を離したスキにいなくなってしまって…」
『!?』
まさか……
私の背中に嫌な汗が伝った感じがした。
きっと…いや絶対
松本さんは組織のアジトに向かったんだと思う。
大勢の捜査員がバタバタしてるから
アジトの場所を話しているのを盗み聞くことはできただろう。
止めなければやばい…!
恋人だった人を殺された松本さんは
きっと復讐するつもりだ。
私は警視庁の出口に向かって走り出した。
しかし途中で松本さんを見つけることはできず
恐らくもう警視庁を出た後だと悟った。