第20章 密輸
風「お連れしました。…本当にいいんですか?」
降「昔から言い出したら聞かないんだ。
悪いな、風見。手間をかけた。」
降谷くんは風見さんに詫びると、私の方へ体を向けた。
降「取り調べは10分だ。
それ以上の時間は取らせる訳にはいかない。
やれるか?」
『え?10分もくれるの!?
ありがとう降谷くん!!』
降・風「「………。」」
え、なんか…変なこと言ったかな?
急に無言になるとか不安になるじゃん…
降「…美緒が倒した男の1人が中にいる。
僕達は隣の部屋から見てるからな…頼んだぞ。」
『ん、了解。』
扉を開けて男がいる部屋の中に足を踏み入れた。
扉を閉めて男に向き合うと
男は少し驚いた顔をして私を見た。
「てめぇ…!
さっきの女だよな?警察の人間だったのかよ…!」
『元、警察官だよ。今は違う。さっきも言ったでしょ?』
私は被っていた帽子を取り
男が座っている向かいの椅子に座った。
『単刀直入に聞くけど
組織のアジトの場所、教えてくれない?』
「はっ、言う訳ねぇだろ!
俺は絶対口は割らねぇから、聞くだけ時間の無駄だぜ?」
まぁ、そう簡単に話す訳ないとは思っていたけど。
『じゃあ…仕方ないか……」
時間が勿体無いので私ははマンションから持ってきていた
液体の入った注射器を出し、男の後ろに周って首に刺した。
「いっ…てぇな!
いきなり何すんだよ!!何を刺した!!」
『ん?ただの毒だよ。
たぶん1分くらいしたら熱が出始めると思う。
5分経ったら死ぬ強烈な毒だけどね?』
「なっ…!嘘ついてんじゃねぇよ!
俺を殺したらお前犯罪者になるぞ?
それにアジトの場所も分からないままだ!」
『残念だけど…嘘じゃないよ。』
男に打った注射の液体を針から机に一滴だけ垂らすと
鉄の机はジュッと音を立てて少し溶け、男は顔を歪ませた。