第20章 密輸
風「今からお二人には私と一緒に警視庁に来てもらいます。」
よかった〜!
降谷くん、風見さんに上手く言ってくれたんだ!
私たちはマンションを出て
風見さんが乗ってきた車に乗り込み警視庁へ向かった。
風「ところで若山さん、
その帽子は何のために被ってきたんですか?」
風見さんが運転中、ミラー越しに私を見て質問してきた。
『警視庁には知り合いがたくさんいますから…。
出来るだけ見られない方がいいと思いまして…』
風「ああ、そういうことでしたか。」
帽子の中に結んだ髪をしまって
パッと見、私だと分からないようにしてきた。
警視庁にいる知り合いに会ったら
なんでいるのか理由を聞かれかねないからね…
20分ほど車を走らせたところで警視庁に到着し
3人で車を降り、風見さんの後ろをついて行く…
IDカード認証のあるドアを何回か通った後
人気がない静まり返った廊下を歩き
ある一室の前に風見さんは立ち止まった。
風「松本さんはこちらの部屋でお待ち下さい。
若山さんにはお願いしたいことがありますので…」
部屋の中は会議室のようで
そこには他の女性捜査官が1人待機していた。
『すみません松本さん…少しの間席を外しますが
またすぐ戻ります。お待ち頂けますか?』
「…はい。分かりました…。」
松本さんと別れ、再び風見さんの後ろをついて行き
角を曲がった少し先に
ドアの前で佇んでいる降谷くんを見つけた。