第20章 密輸
『松本さん、怪我ないですか?』
「あ……は、はい……ないです…」
『良かった。
ここにいるのは危険なので、少し歩きます。
すみませんが荷物を取りに行くのは諦めてください。』
怯えて足がすくみ、座り込んでいた松本さんを立たせて
私達は歩き出した。
それにしても……ただの一般人女性を狙うあの男達…
一体何者なの………?
頭の中で考えていた時
今朝風見さんからもらった電話の内容をフッと思い出した。
まさか……
拳銃の密輸組織が絡んでるんじゃ……?
『松本さん…山根 大吾という人物をご存知ですか?』
「っ…!先程話した元彼ですけど……
どうして…彼を知ってるんですか?」
…嫌な予感が的中してしまった。
さっき襲ってきた男達は、拳銃密輸組織の一員で
殺害された山根の元恋人である松本さんが
何か組織の情報を知っているかもしれないと思って
口封じに来たってことか……
『山根さんは……残念ながら亡くなりました。』
「え…!?」
『詳しい話は後で。今は安全な場所に向かいます。
ただ、さっき襲ってきた男達のこともあるので
知り合いの警察にちょっと連絡します。』
私はスマホを取り出し
風見さんに電話をかけると彼はすぐに出てくれた。