第20章 密輸
少しの間歩いていると
後ろから2人の男が付けてきているのが確認できた。
…どうやら松本さんは本当に狙われているらしい。
角を曲がったところで人気がなくなり
2人の男は早足でこちらに向かってきた。
『松本さん、少し私から離れてて下さい。』
「…え?」
『早く!』
私は彼女の背中を押し、近づいてきた男2人に向き合った。
『っ、!!』
1人の男が私に殴りかかってきたので
それを避けて相手の頭を後ろから掴み
コンクリートの壁に叩きつけてやった。
そしてもう1人の男は松本さんに襲い掛かろうとしており
私は男の後ろ襟を掴んで、そのまま地面に叩きつけた。
松本さんを背中に庇う様に立ち、男に向き合ったところ
その男はノロノロと立ち上がり懐からナイフを取り出した。
「死にたくねぇだろ?
そこの女から離れてもらおうか。」
『確かに、まだ死にたくないかな。
クリスマスに大事な人と約束してるの…
……でも、ここを離れるのも無理。』
「じゃあ……あの世でその恋人に謝罪しな!!」
男はナイフを向けて走ってきたが
私はその男の腕を掴んで捻り、ナイフを落とした後
足を引っ掛け転ばせて尻餅をつかせた。
「っ、くそっ……!!お前一体何者だ!?」
男に近づいて行くと、彼は座りながらズルズルと後ずさる。
『…ただの、ボディーガードよ。』
私はそう答えた後
男の顔を裏拳で思い切り殴り、気絶させた。