第19章 憧憬
蘭ちゃんと組み手をしたら
先に技有り一本を取られてしまった。
決して油断してたとかじゃなくて真面目にね。
闘争心に火がついてしまった私は
割と本気の力で回し蹴りを決めてしまって
蘭ちゃんを吹き飛ばしてしまった。
審判の終了合図を聞いてからすぐに蘭ちゃんに駆け寄った。
『ごめん蘭ちゃん!
本気で蹴っちゃったけど大丈夫!?』
蘭「だ…大丈夫です…。
美緒さん流石に強いですね!完敗です。」
蘭ちゃんは私が差し出した手を掴んで立ち上がった。
よかった…怪我はしてないみたい。
『わたしも技一本決められちゃったし
いい勉強になったよ!ありがと、蘭ちゃん。』
蘭ちゃんは謙遜してたけど
体が鈍ってた分、いい練習ができてよかった。
試合が終わったと同時に
降谷くんはまだ仕事があるのか
私に目で合図をして先に帰って行った。
松田くん達も
部活の邪魔をしないように気を使ったのか
少ししたら同じように帰って行き、
わたしは最後に部員の人達と試合の反省会をして
臨時コーチの仕事は終了となった。
着替えを終えて、みんなに挨拶をしていたら
また練習を見にきて欲しいと部長さんに頼まれたので
時間が出来たら来るね、とだけ言って
車でアパートまで帰ってきた。