第19章 憧憬
学生同士がペアで組み手をしている所で
美緒はその様子を見て
学生達にアドバイスしているようだ。
美緒と話している男子学生が
顔を少し赤く染めて口元が若干ニヤついているように見えて
それが何だか面白くなかった。
他の男子学生も美緒の方をちらちら見ていて
彼女に見惚れているんだなと、すぐに分かった。
道着姿の美緒は髪をポニーテールで結んでいて
凛々しさと、どことなく色気も感じる。
男共が彼女に見惚れるのは分かるが
やっぱり他の男にそんな目で美緒を見られると
僕は苛立ちを抑えれなかった。
松「……お前なぁ…。
高校生のガキ相手にイラついてどうすんだよ。」
萩「俺はポアロのお兄さんの気持ち分かるけどねぇ?
やっぱり自分の彼女が
あんな風に見られてたらムカつくって。」
長い付き合いなだけあって
僕の雰囲気で、内心イラついているのが2人にはバレていた。
どうやらかなり顔に出ていたらしい…。
「…はぁ…もう道着は禁止にしないとな……。」
松・萩「「(……そこまでしなくてもいいだろ…)」」
そのまま見学をしていると、
お昼休憩の時間になったらしく
美緒が小走りでこちらに近づいて来た。