第18章 説得
車が動き出してから
わたしはふと思ったことを口にした。
『そういえば、私この車乗るの初めてだ。』
「確かに、言われてみれば
美緒を乗せるのは初めてだな。」
『昔はこの車
趣味じゃないとか言ってなかったっけ?』
「…そんなこと言った覚えはないな。」
私は覚えているんだけどなぁ……。
『かっこいいよね〜RX-7。
今度私のアウディと一緒にドライブしようよ。』
「いいな。
ドライブテクの練習にもなりそうだ。」
『……大事な愛車でそんなことやらないよ!!」
そんな話をしていると
わたしのアパートの近くのコインパーキングに到着した。
車から降りて少し歩き、
部屋のセキュリティを解除してから降谷くんに上がってもらった。
私はキッチンにコーヒーを入れに来たが
切らしていることに気づいた。
『ごめん、コーヒー切らしてるから紅茶でもいい?
最近忙しくて買い物に行けてないの…」
「ああ、ありがとう。入れるの手伝うよ。」
2人で紅茶を入れる準備をしているが…
キッチンは少し狭いため
横並びになると私の肩が降谷くんの腕に触れてしまう。
思ったより近い距離に少し……
いや、かなり緊張してきた……。