第18章 説得
今日の仕事を全て終えて時刻は夜8時。
晩ごはんを何にしようか考えながら歩いていると
前方から見知った顔がこちらに向かって歩いて来た。
諸伏くんだ………
眼鏡と帽子で変装しているから
外で本名を呼ぶ訳にはいかないよね。
目の前に諸伏くんが立ち止まり、話しかけて来た。
「美緒ちゃん、久しぶり。」
『久しぶりだね。元気だった?』
「うん。
それよりご飯まだなら一緒に食べない?」
わたしは、行く!と返事をして
諸伏くんが近くに停めていた車に乗せてもらった。
10分くらい走って、一軒の洋食屋さんに入り
テーブル席に腰掛け注文を済ませた。
「今仕事帰り?
最近ずっと忙しそうだね。」
『まぁ、ね。
誰かさん達につけ回されて
精神的に疲れてるのもあるかな?』
「…そんな言い方しないでよ。」
『あはは、ごめんごめん。
それより、私のとこに来たのは昨日の話だよね??』
「…うん。俺としては断って欲しいけど
あいつと一緒で君を説得しなきゃいけない立場なんだ…。」
あいつとはきっと降谷くんのことだろう。
私のこと説得しなきゃいけないなら、
諸伏くんと一緒に来て欲しかったな…。
「今日はあいつ、潜入先の組織で仕事があるんだ。
ごめんね、一緒に来られなくて。」
…私、顔に出てたかな……。