第17章 尾行
書類を見ながらあれこれ考えていると、
上司が口を開いた。
「3日前から風見達に彼女を尾行させていたんだが、
どうやら初日からずっとバレていたみたいでな。
風見の顔の傷は、昨日彼女につけられたものだ。」
風「…壁に押し付けられて拘束された際にできた傷です。
降谷さんの同期なだけあって、
若山さんはすごい人ですね。」
…美緒のやつ……
尾行されるのにシビレを切らしたってところか…。
「風見…協力者になること、彼女は納得したのか?」
「いえ…。もう警察組織のために働くのは辞めたから
断る、と言われました。」
だろうな。あいつが警察を辞めたのは
権力者の言いなりになる警察組織に嫌気がさしたからだ。
100%断ると思った。
「彼女ほどの優秀な人材は他にいない。
断られたからと言って、
そう簡単に諦めるわけにもいかないんだ。」
「…彼女が警察官を辞めたのは
我々警察組織に原因があるんですよ?
とても引き受けてくれるとは思えませんが。」
「確かにそうだな…。そこでだ。
お前、若山とは警察学校で仲が良かったんだろ?
お前からの誘いなら、彼女も耳を傾けてくれるかもしれん。もう少し彼女を説得してみてくれないか?」
そんなの今すぐにでも断りたい……
しかし
個人的な感情で上司から言い渡された任務を拒否することなんて
僕の今の立場上、それはできない。
「…わかりました。一度、話してみます。」
僕は上司にそう伝え、風見と共に部屋を出た。