第17章 尾行
『はぁーーー、つっかれた〜……』
今日の仕事を一日終えて、自宅への道のりを歩く。
最近はずっと夜遅いから暗かったけど、
今日は比較的早く終わらせる事ができたから
いつもより空はまだ明るい。
ゆっくり歩道を歩いていると、
また朝と同じように後ろから感じる視線……。
…あーもう!!
そろそろ尾行されるのも鬱陶しくなってきた!
一体誰が私の後をつけているのか見てやろうと思って
私は自宅を通り過ぎ、人通りの多い米花駅の方へ向かった。
今、私を尾行してる人は恐らく1人。
前から集団で歩いてくる人達の間をくぐり抜けて、
姿を見られないように脇道に入った。
脇道からこっそり見ていると、
尾行していた男が私を見失い、少し慌てている様子が見えた。
そのまま脇道の入り口まで来たので、
私はその男の腕を掴み脇道の中へ連れ込み、男を壁に押し付けた。
「っ!いきなりなんですか!?
は、離してください!!」
『…なんですか、はこっちの台詞。
人のことをコソコソつけるなんてどういうつもり?』
「し、知りませんよ!つけてなんていません!」
『とぼける気?
あなた、3日前から私のこと尾行してましたよね?
初日はもう1人…
身長170cmくらいの紺色スーツをきた男と一緒に。
次の日は、あなたと黒髪ロングの女性。恋人を装った私服で。
そして昨日は、初日と同じ男1人だけ。メガネと帽子つけてね?
で、今日はあなた1人……何か間違ってる?』
これでも元SPだ。
尾行される訓練も受けてきたから
相手の特徴を覚えるのも私にとっては容易いことだった。