第16章 告白
昔のことを懐かしく思っていると
松田くんは急にベンチから立ち上がり、座っている私の前に立った。
「俺、昔も今も………美緒のことが好きだ。」
『っ……』
「諦め悪ぃなって自分でも思うんだけどよ…
どうしようもないくらい…お前のことが好きなんだ。」
松田くんのストレートな告白は
昔と同じで素直に嬉しかった。
でも…私が好きなのは………
私が恋人としてそばにいたいのは………
『ありがとう、松田くん。私のこと好きになってくれて…』
「…。」
『でも………ごめんね…?
松田くんが私のこと
どうしようもないくらい好きなのと一緒で……
私も降谷くんのことが
どうしようもないくらい好きなの……』
いつもふとした時に思い浮かぶのは降谷くんの顔で……
ちゃんと休んでるのかな?とか
仕事忙しそうだけど大丈夫かな?とか
降谷くんのことばっかり頭の中で考えちゃう…
きっと松田くんもわたしと同じ気持ちなんだよね。
だから松田くんの気持ちは痛いほど分かる。
分かるからこそ松田くんの気持ちに答えられなくて
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ…
「はぁー…やっぱりまだあいつの事好きだったんだな。」
『うん……ごめん…ね……松田くん…』
「おい。お前が泣くなよ。泣きたいのは俺の方だ。」
『…っ、だっ、て……
松田くんの気持ち…痛いほど分かるっ、から…』
「美緒……ありがとな、正直に答えてくれて。
お前のことすぐには吹っ切れそうにはないけど
今まで通り友達でいたいとは思ってるからな。」
『友達で…いてくれるの……?』
「当たり前だろ!ばーーーか!」
確か昔も同じこと言われた気がするな…
松田くんの優しさがすごく伝わってきて
私はなかなか泣き止むことができなかった。