第2章 対戦
何回か攻防を繰り返し、若山の息がかなり上がってきた。
そろそろ最後の勝負に仕掛けてくると思ったら、
予想通り、竹刀を上に投げ僕の死角から蹴りを喰らわそうとしてきた。
「っ!!!」
全く…あれだけ動いてまだこんな技を出すなんて…
少しの油断も許さない状況。
僕は何とか彼女の技を交わし、制圧することができた。
教官から終了の合図が出たところで
僕は彼女から手を離した。
力加減はしたから、怪我にはならないはずだ。
若山は座ったまま息を整えていて、
教官達が出て行った後、念のため怪我がないか確認した。
座ったまま大丈夫と言い、彼女は身につけていた防具を外していた。
僕に負けたことで悔しそうな表情をしているのかと思いきや、
とても清々しく、楽しそうな少女のような顔をしていたから驚いた。
綺麗だな…と、思わず見惚れてしまうほど彼女の表情は
とても眩しく見えた。
それから見学していたヒロ達も加わり、
しばらくの間みんなで談笑した。
彼女の笑った顔を見た時は
先程の綺麗な表情とはまた異なり、
可愛い……と素直に思ってしまった。
その時、胸のあたりがドキドキした気がしたが
運動後で脈が乱れているだけだと僕は自分で自分を誤魔化した。
隣にいた松田も若山の笑った顔を見て頬が赤く染まっている。
きっと松田は若山に惚れたな…
僕がそう思っていると、若山を除く他の3人も同じようなことを思っている表情をしていた。
本当に松田は分かりやすい。