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《降谷夢》bonheur {R15}

第13章 過去


大臣の息子が呆然としていると同僚が応援に駆けつけてきて
彼を取り押さえた。


私は動かない体を引きずりながら前田さんに近寄り
刺された部分を押さえ圧迫止血をした。


『前田さ…ん…しっかり…して下さい…
絶対……助かりますから!』

「い、や…たぶん…もう無理だ……っ、ごほっ……
内臓…まで…いっちまってると思う…からな…」

『喋っちゃだめです…!!
お願い……諦めないで下さい……』

「…若山、ごめん、な…。
あの大臣の、っ息子のこと……悩んでた、のに……。
っ、はぁ……気づいてやれなくて……」

『…っ!!』

「応援の要請……してきた、だろ?
急いで、来たんだが……
部下である、お前を…危険な目にあわせた…。」

『もう、いいです!お願いですから喋らないで!』

「俺はここまで、だけどよ……
お前…は、これからも……たくさん…の人を救え…。
そして、守れ…。
お前なら……俺の意思、を継いで…くれる……
信じて…る……から、な………。」

『……前田、さん………?』

わたしの大切な上司は笑いながら目を閉じて
動かなくなってしまった。

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