第13章 過去
「…そんなに死にてぇなら殺してやるよ……。
あの世で俺を馬鹿にしたこと後悔してろ!!」
男はそういうと私目掛けて
ナイフを持ったまま走ってきた。
ああ…
私の人生ここまでかぁ……
そう思って下を見て目を瞑ろうとしたところで
わたしと彼の間に誰かが割り込んできた影が見えた。
パッと正面を見ると
わたしの視界には、
久しぶりに見る尊敬している上司の背中が映った。
『………え……?ま、えだ…さん……?』
見間違えるはずがない。
最近は見てなかったけど、
この頼もしい背中を追いかけて
これまで頑張ってきたんだ。
大臣の息子は驚いて、ナイフを握ったまま後退ると
地面にはたくさんの血がポタポタとこぼれ落ち…
前田さんはそのまま両膝をついて倒れてしまった。