第13章 過去
「っ!?……いってぇな!!
何すんだこのくそ女ぁ!!」
地面に転がったバカ息子はすぐ立ち上がり、
彼女の頬を思い切り何度も何度も引っ叩いた。
『っ!!やめて!!
その人は、あんたと違って綺麗な心を持ってる人なの!
あんたみたいな人が、殴れる価値があると思うな!』
「……は?」
『だってそうでしょう?
あなたは薬まで使って、女を自分の物にしようとして…。
自分に自信がないからそんなことしてるんでしょ?
本当…みっともないね。』
「…黙って聞いてたら偉そうに言いやがって!!
あ!?ぶっ殺すぞ!?」
『事実でしょ?だから怒ってるくせに。』
彼女から視線を逸らさせたくて
わたしは壁にもたれ掛かりながら、なんとか立ち上がり
煽るような事を言っていると、
怒り狂ったバカ息子は
先ほど地面に転がったナイフを取り
私に向けてきた。