第13章 過去
『若山です。
大臣の自宅駐車場で、息子を狙う被疑者の女性を確保しました。
応援をお願いします。』
スマホの電話で応援要請をし終わったところで
車の中にいた大臣の息子が降りてきた。
「さすが、女でもSPなだけあるねぇ」
『…車から出ないようにお伝えしたはずですが?』
「この俺を襲ってくる馬鹿がどんな奴か見にきたんだよ。
見たことある顔だなーって思っただけだけど。」
……っ、こいつ………!!
大臣の息子じゃ無かったら蹴り飛ばしてたわ…
『…念の為、あなたは先に自宅へ入っていて下さい。
わたしはこの女性と外で応援を待ちますので。』
「んー……いや、君も家の中に来てもらうよ?
俺と一緒にね?」
『?何を言ってるんですか?
わたしの話聞いてまし……た………、っ!?』
しゃがんだまま背を向けて話しているところに
バカ息子がいつの間にかわたしの近くに寄ってきていて
首に注射のようなものを刺されてしまった。