第13章 過去
『車から絶対に降りないで下さい!』
車の中で驚いている彼にそう告げて、
わたしはその女性の手首を掴み、
持っていたナイフを手刀で落とした
そしてそのまま背中から押さえつけ、手錠をかけた。
『18時55分、殺人未遂の容疑で現行犯逮捕』
「っ!!離してよ!!
あの男のせいで、私の身体は傷物になったの!!
絶対許さない!殺してやるんだから!!!」
どうやらこの男に犯された被害者の1人のようだ。
『…どんな理由があったとしても
人を殺すなんて間違ってる。
こんな男のために、あなたが手を汚す必要なんてないの。』
「っっ……!…うわああああああぁー!」
わたしがそのように告げると、
被疑者の女性は地面に顔を埋めて泣き出した。