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《降谷夢》bonheur {R15}

第75章 幸甚




そして、前田さんの奥さんと娘さんと話し終わった後、2人が墓地から出ていくのを見送り
私と零くんは、2人で前田さんのお墓の前にやって来た。




お花と、前田さんが好きだった銘柄のビールを供え
零くんと手を合わせてお祈りをした。



心の中で
奥様と娘さんに会わせてくれたこと…


私を厳しく指導してくれたこと…


私の命を…命懸けで守ってくれたこと…



今日は謝罪ではなく、感謝のみをひたすら伝えた。





閉じていた目を開けると
隣にいる零くんも、同じタイミングでお祈りを終え、私はそんな零くんの手をギュッと握り、手を繋いだ。





『零くん、私ね…。長野で諸伏警部が撃たれた時
ボディガード、辞めようかなって思ったの。』

「…そうか。」

『でも、やっぱり辞めたくないって思った…
前田さんが守ってくれたこの命で…
これからも色んな人を助けたいって…
私と同じような思いをする人を出したくないって、改めてそう思ったの。』


「うん…」


『怪我はまた…しちゃうかもしれないけど…
零くんは私に、ボディガードをやめて欲しいって
思ったことはある?』



…初めて問い掛けるその質問。


どんな答えが返ってくるか分からなくて
恐る恐る零くんの顔を見ると
彼はフッと笑い、優しく笑いかけてくれた。





「僕は、美緒が決めたことなら応援する。
君が決めた道を、僕には止める権利なんてない。
でも、間違った方へ進もうとしたら全力で止める。
だから美緒は、自分がしたいことをすればいい。
辛くなった時は僕を頼れ。
美緒のことはずっと…僕が側で支えるから。」


『うん…。零くん…ありがとう…』




…前田さん、
零くんの言葉、ちゃんと聞いてくれました?

あなたに劣らず、いい男でしょう?



私はこれから先もずっと…

永遠に、零くんと共に生きて行きます。

ちゃんと、幸せになりますから…


安心して下さいね?





前田さんの墓石を見ながら
心の中でそう伝え終えてから
私と零くんは墓地を去り、久しぶりのデートを楽しんだ。




今回の長野での事件の時みたいに
辛くて、苦しい思いをする時もいつかはあるかもしれない…。



でも、私はきっと大丈夫…



…愛する零くんが、ずっとそばにいてくれるから。



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