第75章 幸甚
「美緒が長野から帰って来たら
元々休みを取る予定だったんだ。
犯人逮捕に協力してくれたし
君が行きたいところ、どこでも連れてってやる。」
『ありがとう…!!
あのね、実は行きたい場所があって…』
「ん、分かった。
…じゃあそろそろ夕食を用意しようか。
明日に備えて、早く休まないとな。」
『…もう少しだけ……このままじゃ…だめかな?』
確かに少しお腹は空いて来たけど
もう少しだけ…零くんの素肌の温もりを感じていたい。
ギュッと甘えるように抱き付いて
零くんの胸に頬を寄せると
穏やかな心臓の音が聞こえて来た。
『零くん…大好き…』
「〜〜〜ッ、あーもう…ほんとに…
可愛すぎてどうにかなりそうだよ…」
『私がこうやって甘えるのは
零くんに対してだけだよ?』
「知ってる。他の男に甘えたら許さない。」
『あははっ…、って、
なんでまた覆い被さってくるの!?』
嫌な予感がする…、と思ったら
私を見下ろしている零くんは
怪しくニヤリと笑みを溢した。
「僕ももう少し、美緒を堪能したくなった。」
『へっ!?た、堪能って…』
「言わなくても…分かってるだろ…?
夫婦なんだから。」
『!?ひゃッ……んっーーーーッ!!』
先程まで体を重ねていたというのに
私はまた、その後何度も零くんにたっぷりと愛情を注がれながら可愛がられた。
ーーー…結局、2人で夕食をとるのは
日付を跨ぎそうになる時間まで持ち越されてしまった。