第75章 幸甚
『ん…、零くん…』
「っ、僕も……美緒を愛してる…」
『んんッ…!』
今度は零くんの方からキスを浴びせて来て…
徐々に深いキスへと変化していき、
未だ玄関にいた私達は、キスをしながら靴を脱ぎ
寝室のベットへと傾れ込んだ。
『あッ…、れいッ…く…』
「美緒…」
互いの名前を呼びながら夢中でキスを繰り返し
身に纏っている衣服も乱されていく…
普段より少し荒々しくも感じたけど
私の肌に触れる零くんの手つきは
なんだかすごく…優しかった…。
「は、ぁ…、愛してる…美緒…」
『っ、私も…、零…愛してる…っ』
何度も互いに愛の言葉を伝え合いながら
私達は長い時間をかけて…
2人だけの甘い時間を過ごした。
高みの絶頂へ何度連れて行かれたか、回数なんか覚えてられないほどにさせられたけど
疲労なんか全く感じる事はなく
身体中が…心が…幸せで満ち溢れた。
甘い情事を終え、2人で裸のままベットで寝転がっていると
零くんは私の頭を何度も優しく撫でてくれていた。
『…ねぇ、零くん。』
「どうした?どこか辛い?」
『ううん、大丈夫。…あのさ、
私が泣いてた理由……、聞かないの?』
「聞かないよ。わざわざ聞かなくても
何となく分かってるから。」
『っ…』
…いつものことながら、本当に鋭いな。
でも、私のことを理解してくれているのは
とてつもなく嬉しくて…
言葉にしなくても
零くんと心が繋がっているようにも思えて
また涙が溢れ出しそうになった。
「それより美緒、
確か明日まで休みもらってたはずだよな?」
『え…?あ、うん…
東京に戻った事を職場に連絡したら
明日1日はしっかり休養取れって言われたから…』
「じゃあ明日、久しぶりにデートしよう。」
『うそ、いいの!?犯人は逮捕できたけど
零くんはまだ仕事の後処理とかあるんじゃない?』
「それは美緒を迎えにいく前に全部終わらせて来た。」
…はっや。