• テキストサイズ

《降谷夢》bonheur {R15}

第75章 幸甚




『ぐすっ…ん…』

「…落ち着いたか?」

『うん…、ありがとう、もう大丈夫。』

「じゃあ帰ろう。僕達の家に…」




体を離すとすぐに、零くんはスッと手を私に差し出し
私も自分の手を重ねると、ギュッと優しく包み込むように手を繋いでくれた。


私が持っていた荷物は、零くんのもう片方の手で
スマートに奪われ、お礼を伝えると優しく微笑んでくれた。



数日見てなかっただけなのに
あまりにも爽やかで、カッコ良すぎて…


胸がトキめくのが分かった。




そのまま私達は手を繋ぎながら
改札を抜け、零くんが運転して来た車で
米花町に戻って来た。




長野で起きた事件のことを話していると
あっという間に私達の家に到着した。




『なんか…数日しか経ってないのに
すごく久しぶりに感じる。』

「それだけ家が恋しかったって事じゃないか?」

『ふふっ、うん…。でも、家というより
零くんが恋しかったんだけどね。』


「っ、馬鹿美緒。」

『えへへ』




こんなやり取りも久しぶりに感じて
照れている零くんを笑いながら見つめていると
私達の部屋に到着した。



玄関の鍵を開けて部屋に入り
無事に帰って来れたことを実感していると
零くんは持っていた私の荷物を玄関の床に置き、駅のホームにいた時よりも強く、私の体を抱きしめて来た。





「ごめん、美緒…、疲れているとは思うんだが…


すぐに抱きたい…。」


『っ、え…?』

「電話で美緒が可愛いことばかり言うから
ずっと君が恋しかった…。
本当は我慢しようと思ったけど…
顔を見たら到底無理だ。」





…たぶん、零くんが今言ったことは
電話をしている時に言いかけてやめたことだろう。




電車のホームの時よりも熱い抱擁をされ
零くんが私を強く求めてくれているのが分かる。



私のことを愛しく思ってくれているのが
体と言葉…、空気からも伝わってくる…。





「…ごめん、やっぱり無理はさせられないよな。」

『ううん、大丈夫。』

「……え?」

『零くん…、愛してるよ…』

「っ、!!」





驚きながら少しだけ身を離した零くんに
私は自分から、零くんの唇にキスをした。





/ 1124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp