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《降谷夢》bonheur {R15}

第75章 幸甚




『うぅっ……、零、くんっ……零くん…ッ』

「…大胆だな、こんな所で。」

『だって…、会いたかったんだもん…ッ』

「フッ、僕もだよ…
美緒にすごく会いたかったから…
だから迎えに来たんだ。」

『う〜っ…、ふぅ…ッ、』





抱きついた私を包んでくれる零くんの腕は、いつも通り温かくて…



私が泣いている理由を何も聞かず
ただただ優しく抱きしめてくれる零くん…


涙は止まることなく
洪水のように溢れ出てくるけど
私は零くんの腕の中で、泣きながら口を開いた。





『ただい、ま…、零くん…ッ、ただいま…っ』

「うん…、お疲れ様…、よく頑張ったな。」





あぁ…やっぱり零くんには敵わない。



私が欲しかった言葉を発して
かなり目立っているはずなのに、ずっと抱きしめ続けてくれている…



あまりにも優しい抱擁だから

きっと零くんには、私が今回の事件で
辛い思いをしたことが分かっているんだろう。



そんな優しい零くんが心から愛しくて…


好きすぎてどうしようもなくて…


うまく言葉にはできないから
私はしばらくの間、零くんの胸に顔を埋めて涙を流し続けていた。









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