第75章 幸甚
諸「若山さんは…どうやって立ち直ったのですか?」
『私には…、私を支えてくれる人がいたんです。
私の過去を知って、私と同じように苦しんでくれて…
優しく慰めてくれた人達が…。』
そう話した時、思い浮かんだのは
勿論、大好きな零くんのこと。
零くんだけじゃなくて
同期の松田くん、諸伏くん、萩原くん、伊達くん、
親友の瑞希や、今の職場の人達。
上司の前田さんは亡くなってしまったけど
私にはまだ…
私を支えてくれる、守りたいと思える人達が
たくさんいるから…
だから、過去を悔いて
ただ立ち止まってるわけにはいかない…
そう思えたんだ。
『林さんが、鷲頭や御厨を憎む気持ちは分かります。
でも…、憎み続けた先には何もありません。
真希さんが生き返るわけでもありません。』
林「ふっ…ぅ……くっ…」
『大切な人を失った気持ちが分かるあなたには
今回のように犯罪を犯したりせず
新たな幸せを掴んで欲しかったです。』
林「うっ…うぅ……うぁぁぁぁーッ…」
林は私の話を聞くと、地面に顔を埋めて泣き出した。
そんな彼の様子を立ち上がって見下ろした私は
ふぅ…、と大きく息を吐いた。
『さて、言いたい事は言えたし…
覚悟して下さいね?』
林「え…?ッッ、グッ…ウッ…!?」
「「「!?!?!?」」」
私はニコッと笑顔を作り林に向けた後、己の足を上から下に振り下ろし
林に踵落としを喰らわせた。
…勿論、抵抗する術もない林は
顔を地面の雪に埋め、そのまま失神してしまった。
『あ〜、やっとスッキリした〜!』
大「っ、てめぇ…、いきなり何してんだ!!」
『え、何って…
色んな人を危険な目に遭わせた仕返しを…』
大「はぁ…!?ふざけてんのか?!」
『いやいや、真面目ですよ!
かなり手加減しましたし…、むしろまだ足りないくらいじゃないですか?』
大「あのなぁ…、ったく…もういい。」
『??』
大和警部は何故か呆れたようにため息を吐いていたが、その後は何も言われず、上原刑事や諸伏警部、そして蘭ちゃんは
何故かクスクスと笑っているようだった。
でも…