第75章 幸甚
美「う…っ…うぅ…」
高「っ、ぐすっ……」
…美和子ちゃんと高木くんは笑う事はせず
鼻を啜りながら涙をボロボロと流していた。
『ちょっ!?えぇ…!?
2人とも何で泣いてんの!?どうしたの!?』
オロオロしながら2人に問い掛けると
美和子ちゃんは手で涙をゴシゴシと拭い
それでも止まっていない涙をポロポロ溢しながら、口を開いた。
美「わたしっ…、美緒先輩が…
警察辞めた理由っ…、ずっと…何にも知らなくて…っ」
『あ…うん…、ごめんね、何も言ってなくて…』
美「先輩は、悪くないです…!!
私は…、黙って警察を辞めた先輩を…
心のどこかでっ…、責めて…いたんで、す…!」
『美和子ちゃん…』
美「どうして何も…言ってくれないんだろう…とか…、強くて、頭も良いのに……ッ、誰よりも警察官に向いてる先輩が…
なんで辞めちゃったのか……、分からなくてっ…!」
高「僕も…佐藤さんと同じです…!
尊敬している…美緒さんが…
警察官を辞める理由なんて…ないはずだと…
ずっとそう思ってました…!!なのに…」
美「そんなにっ、辛い事があったなんて…
全然知らなくって…!!
ごめんなさい…!美緒先輩…っ、
ごめんなさい…!!」
高「美緒さん、すみませんでした…!!」
2人は泣きながら、私に対して深く頭を下げてきて…
2人が謝る必要なんかないのに
そんな風に思ってくれるのが嬉しくて…
感動で胸が一杯になった。
『美和子ちゃん、高木くん、頭上げて?』
2人に近づいた私は
なかなか頭を上げてくれない2人の手を
片方ずつ掴み、ギュッと握りしめた。
『警察官を辞めてからも2人が私の事を敬ってくれてて…、本当に嬉しかったんだよ?
2人に何も言わずに辞めた私が悪いの。
過去のことを話す勇気がなかった私が悪い…
だから2人は何も悪くない。それ以上謝らないで?ね?』
美「せ、先輩こそ悪くないですよ〜!!」
高「そうですよ…!うぅ…っ」
『あーもう…、お願いだから泣かないでよー…』
2人はなかなか泣き止んでくれなかったけど
最後には私の過去を知れてよかった、と
泣き笑い状態で…
そんな私達を他のみんなは、微笑んで見てくれていた。