第75章 幸甚
コナンくん達より少し先の方には
犯人の林や、大和警部、諸伏警部、
美和子ちゃんと高木くんの姿見えて
全員が無事だったことに、私はホッと胸を撫で下ろした。
私の隣にいる風見さんは
未だ呆然としていて、座り込んだまま拳銃を抱えていた。
風「毛利さんは…、ただの私立探偵では…」
『…風見さんも警察学校で聞いたことありませんか?
射撃訓練最初の試射で、20発全弾を的のど真ん中に
命中させた天才がいたって。』
風「!!まさかそれが…毛利さんだと…?」
『すでに警察官を辞めて
探偵事務所を構えてるって聞きましたけど…
本当のところは、私にも分からないです。』
フッと笑みを溢した私は、そのまま風見さんから離れ、みんなが集まっている林の元に向かった。
彼は既に手錠をはめられ、雪面に膝を着き
俯いている体勢だった。
少しずつ林の元に近づいた私は
彼と視線を合わせるように片膝をつき
私の存在に気付いた林は、ゆっくりと顔を上げた。
『林さん、あなたがした事は許される事ではありません。
でも…、こんな事をしたあなたの気持ちなら
私にも分かります。』
林「っ、あんたに…、お前なんかに何が分かるんだ…!」
『分かりますよ…。
私も、あなたと同じ思いをしたんですから。』
林「…は?何言ってんだ、そんなわけ…」
『私も…、警察官だった頃
大切な上司が殺されたんです。その犯人は
地位がある政治家の息子で…、警察に圧力がかかり
不起訴になって、無罪釈放されました。』
「「「!?!?」」」
林「なっ…」
私が話したことに、林だけでなく
他のみんなも驚いているのが空気で分かる。
美和子ちゃんと高木くんにも
私が警察官を辞めた理由は、何も話していないままだったから…。
『罪を犯したのに、無罪釈放だなんて…
本当に腹が立ちましたよ。
憧れていた警察を憎んだりもしました。
でも…
どんなに憎んでも
殺された上司が生き返るわけじゃない…、
耐えて、耐えて…、少しずつ前に進むしかないんですよ。」
林「っ……」
忘れる事なんて、勿論出来るわけがない。
思い出すだけで苦しいし
心が潰れそうにもなる。
だけど…私には…