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《降谷夢》bonheur {R15}

第74章 残像




この銃型の音響装置みたいに

今回の事件の犯人が使っている銃も
カバーが掛かっているからといって
ライフル銃だと決めつけない方がいいのかもしれない。


見た目だけに捉われてしまうと
足元を掬われそうだな…。






ピリリーッ





『あ…』





犯人の銃について思考を巡らせていると
私のスマホが鳴り出して…


画面を見ると、そこには先程電話をしたばかりの
零くんの名前が表示されていた。





上「電話ですか?」

『はい…、でもここって圏外でしたよね?
どうして電波が…』

大「県警が小型の電波受信機を設置したんだ、
捜索中に連絡が取れねぇのは不便だからな。」



あぁ、なるほど。


大和警部の説明に納得した私は
スマホ片手に炭焼き小屋を出て
近くに誰もいない事を確認してから通話ボタンを押した。






『もしも…「美緒!!犯人に襲われたって聞いたぞ!?大丈夫なのか!?!?怪我してないよな!?」、……。』



…なんで既にその事を知ってるんだろう。




電話に出た瞬間
零くんの大きな焦り声が聞こえてきて
あまりの迫力に、私は反射的にスマホを耳から少し遠ざけた。






「美緒!!聞いてるのか!?」

『もー…、零くんちょっと落ち着いてよ…。
確かにちょっと危なかったけど、無傷だから。』

「そうか……、はぁ…、良かった…」

『心配かけてごめん…。でもどうして…』

「風見から聞いた。」

『ソウデスカ…』





…相変わらず、風見さんは私の事に関して
零くんへの報告を徹底してるようだ。


まぁ、ちゃんと報告しないと
後が怖いからなのかもしれないけど。






「美緒、長野にいる間は
絶対1人にならないようにしてくれ。」

『うーん…、できるだけそうする。』

「…聞こえなかったのか?
"絶対"って言ってるだろ。守れないなら
東京に連れ戻したっていいんだが?」

『…。はい、1人での行動は慎みます…」

「そうしてくれ。」





…圧がすごいよ、圧が。





大体どうやって無理矢理東京に連れ戻すつもりなの?





…まぁ、そんなことを尋ねても
恐ろしい答えしか返ってこないだろう。



想像するだけで、背中に冷や汗をかきそうなくらいだ。



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