第74章 残像
『私達を襲った犯人と、大和警部を襲い
鮫谷警部を殺害したのは、同一人物ってことは
間違いないんですよね?』
大「あぁ、フードを被ってて顔は分からなかったが
鮫谷警部の殺害現場から、ライフル銃の弾丸が発見されたからな。」
…それと、私達が犯人に襲われた側で燃えていたのは
大和警部と上原刑事が乗っていた車だったらしい。
上「でも、銃を持っていた犯人と遭遇したのに
よく無事でしたね?」
『あぁ、それは…』
光「美緒さんが、僕と元太くんのピンチに駆け付けてくれたんです!!」
元「姉ちゃんの飛び蹴り、スッゲェかっこよかったよなぁ!」
光「はい!!」
歩「えー!?歩美も見たかったなぁ!」
…そんなの見なくていいって。
っていうか助かったのは
元太くんと光彦くんのファインプレーのおかげなのに
私の飛び蹴りだけを話すなんて…!!
大「はははっ、やっぱアンタ、
元SPなだけあって相当つぇーんだろうな?」
『い、いえ…そんなことは…』
大「それに、銃を持った相手に物怖じせず
立ち向かって行く度胸も兼ね備えてる…、
気に入ったぜ、アンタのこと。」
『はぁ…、それはどうも…』
…なんかもう、色々訂正するのが面倒くさくて
大和警部の言葉を受け入れてると
上原刑事が私の事をムッとしながら見つめていた。
『あの…、上原刑事、私の顔に何か?』
上「…。いえ…別に…。」
『…?』
なんで不満顔をされたのか分からないけど
とにかく、今のところ犠牲者が出ていないことに安心した私は、部屋の隅に置かれているライフル銃の形をしたものが立て掛けてあることに気づいた。
『あの、この銃って大友さんの物ですか?』
大「いや、それは銃じゃないらしい。
この小屋は北と西、二方向からの雪崩交差地だから
大きな雪崩が起こる前に
時々小さな雪崩を意図的に発生させる為の音響装置なんだとよ。」
上「雪崩を起こしたい場所にはスピーカーが設置されていて、作動させると爆音が出て、雪崩が起きるそうです。
銃型なのは、大友さんの遊び心って言ってましたよ。」
『そうなんですか…。』
…確かに装置みたいなものがついてるし
本物の銃ではないようだ。