第74章 残像
しばらく山道を走ると
コナンくんが言っていた炭焼き小屋に到着した。
泊まるには小さい小屋だけど、
一晩暖を取りながら休むには十分だろう。
みんなで小屋に向かって行くと
髭を生やした1人の大柄な男性が私達に近付いてきた。
「狭い所ですが、皆さんゆっくりしていって下さい。」
『えっと…、あなたは?』
「ここで炭焼き小屋を経営してる、大友といいます。」
越「いきなり押し掛けてすみませんが
よろしくお願いします。」
「いえいえ。私は窯の方にいますので。」
優しい声色でそう告げた大友さんは
小屋の隣にある、炭焼きをする為の窯がある小屋の方へと向かって行った。
そんな彼を見送ってから
先に子供達がはしゃいで小屋の中へと入って行き、私達大人組も後に続いた。
『あれ…?
上原刑事と大和警部もいらっしゃったんですね。』
コ「2人も、美緒さん達を襲った犯人に襲われたんだ。
それでこの小屋に避難してたんだよ。」
『え…!?そうだったんですか!?』
上「何とか犯人から逃げて、PⅢの緊急発信で応援を呼び
今、警察と地元の猟友会の方達が犯人の捜索にあたっています。」
詳しく話を聞くと、
すでに長野山梨へ続く麓の道路は検問が張られていて
犯人は間違いなくこの山にいる、と
東京から来た捜査本部付き検事指示の元、
山中を多数の人達が捜索しているそうだ。
『じゃあ、諸伏警部も捜索に…?』
大「高明に何か用でもあったのか?」
『いえ…、そういうわけじゃないんですが…』
大丈夫かな…。
諸伏警部だけでなく
高木くんと美和子ちゃん、さらには毛利さんまで
捜索に出ているらしいし…
外は暗くて、雪が降っているから視界も悪いのに…。
コ「大丈夫だよ美緒さん。
きっと何人か一緒の組になって捜索してるはずだし
狙われてるのは大和警部だから。」
…そういえば、大和警部は10ヶ月前に
怪しい人物を見て、銃で撃たれて雪崩にあったって風見さんから聞いたっけ。
でも大和警部の様子からして
当時のことはまだ思い出せていないようだけど…