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《降谷夢》bonheur {R15}

第74章 残像




『くっ…』



…まずい。



このままだと…確実に私は撃たれる…。




背後に敵の気配を感じ振り返ると
奴は既に、私に銃口を向けていた。




あぁ…、もう避けきれないかも…




一瞬、死を覚悟したその時、
ヘルメットを被っている敵の顔が眩しい光で照らされた。




光「悪い奴が、美緒お姉さんを襲っています!
すぐに来て下さい!!
今、画像も送ります!!」




犯人の顔を照らしているのは
元太くんが身につけている腕時計のライト…。

そしてその隣で、光彦くんがスマホで助けを求めていた。




この状況で、勇気ある2人の行動に驚いていると
ライフルを持った敵は、光彦くんにカメラを向けられた事で、顔を隠し、そのまま慌てて走り去って行った。




体を起き上がらせながら
犯人が逃げた方を見つめていると、私の元に2人が駆け寄って来てくれた。






光「美緒お姉さん!怪我してないですか!?」

『う、うん…、大丈夫…。2人こそ大丈夫?
怪我してない?』

元「おう!」光「大丈夫です!」


『よかった…。
そういえば光彦くん、電話は誰に掛けてくれたの?』

光「…携帯、圏外、でした。」

『え…、っ…』





光彦くんのスマホを持った手に目を向けると
明らかに震えていて…


それは寒さによるものではなく、
先程の犯人に襲われた恐怖によるものだと…
私はすぐに悟った。





まさか演技であそこまで出来るなんて…



2人の勇敢さに驚いていると
光彦くんと元太くんは、助かった事で安心したのか
泣きながら私の体に抱きついてきた。




『っ、そうだよね…。凄く…怖かったよね…?』

元「うっ…ぅ…」
光「ひっ…く…」

『ありがとう…。2人のお陰で助かったよ…。
本当に…ありがとう…』





私に抱き付きながら
恐怖を拭うように泣いている2人を、私は優しく抱き締めた。



子供に助けられた自分を不甲斐なく思うけど…



2人が私を守ろうとしてくれたのが嬉しかった。



私の為に、危険を顧みず助けようとしてくれて…




2人の優しい気持ちが嬉しくて、私も静かに涙を溢し
その水滴は雪の中へと溶けていった。






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