第74章 残像
ひょっとしたら、
銃を持った犯人に襲われているのかもしれない…
そう考えると、私は気が気じゃなくなり
2人の無事を祈りながら、炎が上がっている場所に辿り着いた。
そして、元太くんが地面に蹲っていて、そんな彼に駆け寄っている光彦くんを視界に捉えたが…
彼らの近くにはもう1人…
2人に近付きながら銃を構えようとしている人物がいた。
『っ、子供に向かって……』
その人物目掛けて、勢いよく走り出した私は
近くまで来たところまでジャンプをし、そのまま飛び蹴りを喰らわした。
『…そんな物騒なもの向けるな!!!』
…蹴りを喰らわせながら怒りの言葉を発した私。
綺麗に技が入ったと思ったけど
脚にはあまり手応えがなく…
恐らく着ているコートの下に
防具か何かを身につけているんだろう。
元「美緒お姉ちゃん…」
『2人は下がってて!』
…相手が銃を持っている以上、
撃たれでもしたら確実にこちらが不利になる。
そうなる前に、早く仕留めなければ…と
私はまだ少しよろついている敵に向かって行った。
『はぁぁっ…!』
正拳を突き出したり、回し蹴りを仕掛けたり、と
拳と脚で次々と攻撃を仕掛けていくが、上手くかわされている…
体の一部を掠ったりはするけど、急所には入らず、顔を狙ってもフルフェイスのヘルメットを被っている為
攻撃しても意味がない。
この犯人……ただの一般人じゃないな…
一体何者だろう…と、思考を巡らせていると
少し距離を取られた瞬間、私に向かって持っていた銃を構えようとしていた。
…大丈夫、動き続ければ照準は定まらない。
敵が持っているのは、カバーが掛かっているけど
形からしてライフルだ。
私は左右に移動しながら走ってその人物に近づき
まずは武器を不能にしようと、ライフルの銃床を蹴り上げた。
でも…
『っ、え……、』
ライフルに掛けられていたカバー越しに
銃床を蹴ったにも関わらず、何故か感触が全く無くて…
勢い良く蹴りを振った私は
驚きながら体のバランスを崩し、地面の雪に横たわってしまった。